「さる山」は道具屋です、やはり古い道具はネタになりますね。こちらでもその辺りについて少々書いていこうと思い、このタイトル。
永らく共にものづくりをしているK氏と、
「これいいよね」
というものに、明治から昭和にかけて多くつくられていた京都の踏台があります。
建築材料の安価な材を用いて大工が施主への贈物としてつくったのでしょうか。丸太から板を製材する時、樹皮に近い部分は捨てられてしまうことも多々あるようですが、辺材耳付きと云われるその部分を利用して上手い具合に座板と脚がつくられています。四方転びという技法(厳密に云うと違うのですが)に基づいて取付けられている、文字通り四方に広がっている脚が開きすぎないよう、薄板(これも余り物の材料でしょう)の貫も入っていて、見事に材料費を只同然のもので集めていながら好い顔をしたものに仕上がっています。天板も脚も耳の部分が丁度面取りされた様になって、すっきりと見え、強度も充分得られる様に配置されています。欧風のテーブルとあわせると少々低めですが、腰掛けにも使用出来る優れものです。貫ホゾ仕上げをしているので、グラグラして来たら接合部分にくさびを打ち込み、しっかりと直せるのです。家具用の材料でなくとも永く使えるように、よく考えられた良品です。最近手に入れることは難しくなりましたが、店に古道具を並べるようになって一体いくつ集めたことか。
K氏とは、踏台も制作していますので、この京都発の名品もあわせて「さる山」でもご紹介していけたらと思っています。
猿山修