フランス語で黄昏時。犬か狼か見定めにくいくらいに暗くなりかけた頃、夜になる前の時間帯のこと。
この言葉との出会いは、レベッカ・ソルニット著『説教したがる男たち』の中、ヴァージニア・ウルフについての「彼女の名前の響きにすら、どこか野性的な趣がある。フランス人は黄昏どきを『犬と狼のあいだ—entre le chien et le loupと呼ぶが』という一節だった。続く文章は素晴らしく、ウルフの本質に深く触れながら、連想ゲームのように言葉を紡いでいく仕方に心動かされた。
一日が終わりに近付く一時の空の色は、単に太陽と月の交代の証にとどまることなく、野性のグラデーションのようでもある。既知から未知へ。明るさが絞られていき、暗闇が現れ始めると、高まる期待と同じくらい不安も膨らんでいく。ロマンティクでもあり、怖くもある。どちらでもない、あいだであることに何か重要な意味があるように思えた。ひとりの人間の中にも犬と狼は住んでいて、行ったり来たりして、曖昧なまま生きている。悠々と越境し、縛られることなく、自由でいたいと強く思う。
遠く昔しから、日本の美意識が育まれる中で、当たり前の様に「原風景」として広がっていた匂い。「MABOROSHI」は、その一つ一つの魅力を探り、私たちの解釈を加えた「香」や「香を感じるための道具」を日本文化を支える職人たちと生み出していきます。
2021年1月24日より、1stプロダクト“kouro #01”と“maboroshi41 for kouro”の販売開始いたしました。“kouro #01”は、猿山修さんにデザインいただき、波佐見焼のマルヒロさんで一つ一つ丁寧に制作いたしました。“maboroshi41 for kouro”の香は、異なるお茶である日本茶、紅茶、烏龍茶などを含み、お茶を飲んだ時の幻想的な多幸感を体験し、時と共に移ろう異なる香を感じられます。
是非kouro #01で、maboroshi41 for kouroの香をお楽しみください。
昔も今も自然の中には香りが溢れています。私たちはその香りに惹きつけられ、長い年月をかけて生活に取り入れてきました。日本においても、香を楽しむ道具選び、それらを扱う動作に至るまで、多様性のある文化として発展してきました。
MABOROSHIでは、最初の試みとして自然の恵みをそのままに体感できるプロダクト「kouro」と自然物のみの素材「maboroshi for kouro」をご用意しました。
maboroshi for kouroの第一段として、異なる茶葉を調合したmaboroshi41は、日本茶、紅茶などを含み、お茶を飲んだ時の安堵やリラックスする感覚を表現し、時と共に移ろう異なる香を感じていただくことができます。