六九工藝祭@松本

六九工藝祭! 松本にて。金工家の竹俣勇壱さんと共にさる山で参加致します。

https://www.69kougeisai.com

松本で皆さまにお会い出来ることを楽しみにしています。

こちらは、開催することが叶わなかった2020年の六九クラフトストリートDMのために書いたテキストに修正加筆したものです。↓

バタフライ・エフェクト
2016年から2019年まで毎年開催されてきた六九クラフトストリートは晴れることが多かった。関係者の日頃の行いがよいからだろうか。しかしよく考えてみれば、晴れの多い松本で、しかも五月に三日間だけなのだから、確率的に言えば雨が振る方が珍しい。それでも過去に大雨の日が一日だけあった。関係者の中によほど素行の悪い者がいるのだろうか。とは言え、嵐でなかっただけよしとしよう。
ブラジルでの一匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか。1972年、気象学者のエドワード・ローレンツがアメリカ科学振興協会で行った予測可能性についての講演のタイトルである。ローレンツはコンピューターシミュレーションによる気象モデルを観察していて、取るに足らないような初期値の極わずかな違いにより、気象パターンの結果が大きく異なることを発見した。カオス理論におけるこの性質の寓意的な言い換えがバタフライ効果であり、これをもってローレンツは長期予測不能性の提言へと至った。一匹の蝶が羽ばたく程度の非常に些細なことが、徐々に予想もしないような大きな現象の引き金になるというのである。
一枚の皿に、一本のスプーンに、一着のワンピースに、一冊の本に、一体どれ程の力があるというのだろう。それはすぐに感じられるものもあれば、長い時間を掛けて感じられるものもある。お気に入りの器を使うだけで、何ていうこともない食事が一層美味しく感じられることもあるし、今日の完璧なコーディネイトのおかげで一歩を踏み出せることもある。些細な上機嫌の連鎖が、思ってもみないような素晴らしい景色を見せてくれることもあるし、私を越え、どこか遠くの会ったこともない人の幸せに繋がっていることだってあるかもしれない。こんな想像は、映画の中だけに留めておくべきだろうか。あの本との出会いが今の私を作ったと何年も経って気が付く。随分遠くへ来たものだ。そんなドラマは平凡な人生には起こり得ないだろうか。その答えを一番よく知っているのは、使い手である。
使い手に届けるのは伝え手である。一つのものには、作り手の感じたこと、考えたこと、見聞きし体験してきたこと、身に付けた技術、その全てが含まれている。生まれた時、ものはすでに充実していて、もう存在しているだけで十分であるかのようにも見える。しかしそれだけではまだ孤独に空を漂っているにすぎない。それを伝え手がつかまえ、羽ばたかせる。空間を相応しく整え、魅力的に配置し、届くよう言葉を添える。バタフライ効果は羽ばたきによって始まるのだ。
ものは人の喜びを伴った時、相乗効果のようにして、大きな力を発揮する。それぞれの実感が大きな渦となって、誰も想像もしていなかったような現象を引き起こす。それは一人一人のうちにも起きるし、世界のうちに起こることもある。様々な要因が重なり、影響し合い、常に他でもあり得た可能性をはらみながら、一度きりの姿を見せる。同じ現象は二度と起こらないし、再現することも出来ない。ローレンツの観測通り、極わずかな違いで結果は大きく変わるのである。もし私たちが同じ時に、素晴らしい現象を共有出来たのだとしたら、その幸せを存分に享受し、感謝しようではないか。現象が消えても、ものは作り手の意図を越え、国境も時代も越えて、生き、残っていく。そこに喜びがあるならば、また蝶は羽ばたき、新たな現象が生じるだろう。願わくは、一匹の蝶があちこちで羽ばたき、不機嫌を吹き飛ばし、上機嫌の渦がそこらじゅうを席巻することを。
待ちに待った2022年、六九クラフトストリートは六九工藝祭に名を変え、三年振りに開催される。様々な人々が集い、見たり触ったり売ったり買ったり話したり聞いたり食べたり飲んだり怒ったり笑ったりして、いつものあの通りを行ったり来たりするだろう。カオスは避けられない。予測は不可能なのである。だからまた五月に松本へ行きたくなる。
二日間、大いに晴れることを祈って。
——山本千夏

「六九クラフトストリート」+「すぐそばの工芸・考」

麻布の「さる山」は無くなりましたが、今年も「六九クラフトストリート」に「さる山」として参加します。
初日には、参加ギャラリーとゲストによる「すぐそばの工芸・考」と題したトークイベントも行います。

「六九クラフトストリート」

2019年5月24日(金)より26日(日)
@長野松本「六九クラフトストリート」

・参加ギャラリー
10cm、minä perhonen、gallery yamahon、Roundabout/OUTBOUND、工藝青花、森岡書店、さる山

「すぐそばの工芸・考」

暮らしのすぐそばにある食器や道具のこと。
そして自分たちの住む町もまた、すぐそばにあるものです。
恒例の出展者によるトークは、
今年は信毎メディアガーデンにて、2時間半三部構成で開催いたします。

「すぐそばの工芸・考」トークイベント
日時  5月24日金曜日 18:00~20:30(受付17:30~)
会場  信毎メディアガーデン 1階 ホール
(長野県松本市中央2丁目20−2)
参加費 1,000円(定員150名)

1部(50分)
小林和人(Roundabout、OUTBOUND店主)
山本忠臣(建築家、gallery yamahon主宰)
竹俣勇壱(彫金師)
菅野康晴(工芸青花 編集長)
三谷龍二(木工デザイナー、10cm店主)

2部(50分)
井出幸亮(編集者)
猿山修(デザイナー、ギュメレイアウトスタジオ主宰)
森岡督行(森岡書店代表)
皆川明(minä perhonenデザイナー)

3部(50分)
お客様も含め全員参加 <質疑応答>

チケットはオンラインサイトでお買い求めいただけます
https://www.mina-perhonen.jp/metsa/EV/0369/index.html

イベントについての問い合わせ
10cm ☎︎0263-88-6210(11:00~18:00 月~木休)

チケットについてのお問い合わせ
minä perhonen松本店 ☎︎0263-38-0137(11:00~18:30 水休)

*チケットの発送はございません。当日、受付にてご注文番号、お名前を確認させて頂きます。
*当日の受付は17:30より開始致します。
*記録撮影を行うことがあり、今後メディアに掲載される可能性もございます。お困りのお客様はスタッフにお伝えくださいませ。
*ご注文後のキャンセルはご遠慮ください。
*ご注文確認のメールが受信できない設定にされていたり、メールが24時間以内に届かない場合は、5月21日(火)17:00までにインフォメーションデスクまでお問い合わせください。
*お支払方法で銀行振り込みをお選びいただいた場合、ご入金確認後にご注文確定といたします。ご注文日から1週間以内にご入金ください。お振込みの最終締め切りは5月21日(木)15:00までとさせていただきます。
*当日券がある場合は、5月24日トークイベントの受付にて(17時30分より)対応させていただきます。

街と家—六九クラフトストリート


戦前の面影を残す松本六九通り。
そのまちなみに3日間だけ
各地のギャラリーがやってきます。
2018年5月25日(金)〜27日(日)
各会場 11:00〜18:00
Roundabout/OUTBOUND
森岡書店
gallery yamahon
工芸青花
さる山
minä perhonen
10cm
詳細は、こちらをご覧ください。
http://www.69-matsumoto.jp/index.html
5月25日(金)には「日用美品」をテーマに作家やギャラリストの面々がトークリレーを行います。
「日用美品」
日々の暮らしを美しく重ねていくもの。
暮らしの美とは素から生まれたもの。
その美は所作を生み人を創るもの。
トークスケジュール
2018年5月25日(金)11:00〜18:00 (全5回)
1回目 11:00〜12:00
三谷龍二(木工作家 10cm店主)、小林和人(Roundabout&OUTBOUND 店主)、竹俣勇壱(彫金作家)
2回目 12:30〜13:30
小林和人、小西亜希子、森岡督行(森岡書店 店主)
3回目 14:00〜15:00
森岡督行、井出幸亮(編集者)、猿山修(デザイナー さる山主宰)
4回目 15:30〜16:30
猿山修、山本忠臣(ギャラリーやまほん主宰 建築家)、皆川明
5回目 17:00〜18:00
山本忠臣、三谷龍二、井出幸亮、皆川明
聞き手:菅野康晴(工芸青花 編集長)
定員:各回 70名
会場
mm(ミリメートル)
長野県松本市大手2丁目2-5
「日用美品」トークリレーの予約・問い合わせはこちらから。
http://www.mina-perhonen.jp/metsa/EV/1136/
チケットは、minä perhonen 松本店でもお求めいただけます。
お電話、または店頭にて、お訊ねくださいませ。
松本店電話:0263-38-0137
Open 11:00-18:30 水曜定休

街と家 – 六九クラフトストリート

今年も信州松本で行なわれる「六九クラフトストリート」に参加します。
2017年5月26日(金) 27日(土) 28日(日)
昭和のハイカラな商店街の面影を残す松本 六九通り。そのまちなみに3日間だけ各地のギャラリーがやってきます。
Roundabout / OUTBOUND
森岡書店
gallery yamahon
工芸青花
さる山
minä perhonen
10cm
http://www.69-matsumoto.jp/
「さる山」として出店する他に、ミナペルホネンのギャラリー “mm(ミリメートル)” にて展示、トークショーも行ないます。
http://www.69-matsumoto.jp/information.html
トークショウの予約は下記からお願い致します。
http://www.mina-perhonen.jp/metsa/EV/0183/
是非お出掛けください。