共犯関係

少しの残された場所のあるもの。使い手の関わる余地のあるものが好きである。例えば、料理を盛ると一層うつくしく見えるうつわ。料理も何だか違って見える。他のものと組み合わされて、あらたな魅力を発揮するようなもの。
使い手とともに変化し、少しずつ誰かが作ったものから、私のもの、私たちのもの、になっていく。大事にすれば、永く生活をともにできるものがもつ安心感は、ものを所有することの心地よさにつながっていく。
着物の世界に疎い私でも、自分の好きなうつわやカトラリー等を着物に置き換えるなら何があてはまるだろうと考えたとき、結城紬が一番に思い浮かんだ。もっと簡単にいえば、着てみたい着物である。
シンプルであまりごちゃごちゃしていなくて、確かな素材と技術をもって作られ、着込むほどに素材の魅力が増し、永く愛用出来そうなもの。おまけに華があるのに派手でなく、品がいい。ぴかぴかしないしっとりとした光沢感があり、触れていると気持ちがいい。何といっても、もの自体に色気がある。
ということは、これを身につければ、華があって品がよく、しっとりとした色気のある女性になれるのでは…などと下心が出てこなくもないが、さて、そんな期待なくして、買おうと思うものでしょうか。
こういう気持ちで着ていれば、いつもより少しきれいに見えるかもしれないし、そんな風にものの力を借りることはちっとも悪いことではない。
ものとの共犯関係は、罪ではないし、誰も悲しまない。
きれいなひとがひとり増え、いつものおかずがもっとおいしそうに見えたなら、誰だって嬉しいに違いない。
うつわやカトラリーを通して紬を発見し、また紬からうつわやカトラリーへと行き来する。
通底するふたつの世界の結び目が帯留めであったと思って頂けたなら、奥順さんと私の共犯関係はきっとここで成立するのである。
山本千夏/Gallery Yamamoto

結城紬との出会い− 帯留めとうつわ、カトラリーを通して −
内田鋼一 大室桃生 竹俣勇壱
熟練の手仕事が重ねられ、結城紬はうまれます。しっとりとした質感、落ち着きの中にある派手さとは別のはなやかさ、着るほどにやわらかく馴染み、ずっといっしょにと手放せなくなります。そんな結城紬に合うような帯留めを、それぞれ、内田さん−陶、大室さん−ガラス、竹俣さん−金属という三者三様の素材を使ってつくって頂きました。普段つくっていらっしゃる、うつわやカトラリーも並びます。すてきな出会いに、ふわっと気持ちが明るくなって、春の訪れにこころはずみます。あたらしい物語がつむぎだされます。どうぞお出掛けください。また、本展会場のすぐとなり、つむぎの館内の陳列館では「奥順結城紬新作発表会」(3/16-31)も開催されます。あわせてご覧ください。

2013.3.16(土)-24(日)
10:00-18:00 火曜定休
茨城県結城市大字結城12-2 つむぎの館 Gallery&Cafe壱の蔵1F
tel 0296-33-5633
www.yukitumugi.co.jp
主催/企画:奥順(株)つむぎの館、Gallery Yamamoto
http://gyamamoto.exblog.jp/

木下宝 ガラス展 @Gallery Yamamoto

栃木野木のGallery Yamamotoにて友人の木下宝さんの個展が始まります。
木下宝 ガラス展
2012年7月14日(土)ー22日(日)
宝さん在廊日7/14
11:00-17:00
会期中無休
タイトルにかえて、宝さんからことばを頂いた。
透明、そして、白という名の透明。ふたつの透明。
透明は、その扱い方しだいで、限りなく白に近づいてゆく。
不透明、だけれど、透明。
そこに魅かれる。
夏はもちろん、一年中愛用したい、宝さんのガラス。それは、ガラスの性質そのものを象徴するかのように、存在の希薄さとたしかな存在感の両方を持ちあわせる。ありふれて希有なもの。今回は、宝さんのことばにもあるように、透明と、透明から成る白、ふたつの透明をご出品頂きます。グラスなど、普段使いのうつわに加え、ガラスの持つ、儚さと強さを同時に感じさせるようなオブジェを。どうぞお出掛け下さい。 山本千夏
於 Gallery Yamamoto
栃木県下都賀郡野木町南赤塚786-2
Tel 0280-56-2444
Fax 0280-55-2002
http://gyamamoto.exblog.jp/

「なんでもない、なんでもある」 赤木明登×渡辺遼×猿山修 と「暮らしにデザインを持って帰る」展 —猿山修の器、グラス、カトラリーから照明まで—

今週末から始まる二つの展覧会をご案内致します。
ひとつ目は、
「なんでもない、なんでもある」  赤木明登×渡辺遼×猿山修
2012年5月26日(土)-6月10日(日) 11:00- 17:00 会期中無休
赤木氏、猿山氏在廊日:5/26 渡辺氏在廊日:6/3・10
 
漆なのか鉄なのか、古いものか現在のものか、自然によるか意図によるか、そうなったのかそうしたのか。
いつ、だれが、どうして、何のために。あらゆる境は曖昧に。
2010年、Gallery Yamamotoにて催された「襤褸板・とあるかけら−赤木明登×渡辺遼−」展。
その発展形として、さらに猿山修氏を迎え、オブジェであり道具であるような、それぞれのうつくしいものが提示されます。
一部、赤木明登氏のぬりものの器も出品されます。
どうぞお出掛け下さい。
 
於 Gallery Yamamoto
栃木県下都賀郡野木町南赤塚786-2
Tel 0280-56-2444
Fax 0280-55-2002
http://gyamamoto.exblog.jp/
 

ふたつ目は、

「暮らしにデザインを持って帰る」展 —猿山修の器、グラス、カトラリーから照明まで—
2012年05月25日(金)〜06月04日(月) 祝・日定休 10:00- 19:00
 
デザイナー猿山修はものを作りはしない。
作家や職人、制作会社といっしょになって、思い描いたものを形にする。
その形は機能に最小限のデザインを施したようにシンプルで、それでいて細部に効いた装飾性がたのしい。
ひとたび家に持って帰れば、すっかり生活にとけ込んで、ずっと前からそこにいたような顔をして、皆さんの家の定番となることだろう。
 
於 (有)叶多プランニング内
札幌市中央区大通西5丁目大五ビル6F
tel:011-219-3988 fax:011-219-3989
http://www.kanata.in/7451

三者のテーブルに招かれる ―白い器とスプーン&フォーク― 展


Gallery Yamamotoにて行われる展覧会のお知らせです。
 
作家とデザイナーと職人がひとつのテーブルにつく。
もうひとつ残されているのは、使い手のための椅子である。
白い器に少し小さなカトラリーを添えて。
まずは招待に応じてみようと思う。
皆さま、是非ご一緒に。
山本千夏/Gallery Yamamoto
セラミックワァクスフォアテイブル
監修/技術指導:井山三希子
デザイン:猿山修、製造:大屋窯
ryoスプーンアンドフォーク
監修/仕上げ:竹俣勇壱
デザイン:猿山修、製造:田三金属
2012年3月24日(土)-4月8日(日)
11:00- 17:00 会期中無休
3月24日 井山三希子、竹俣勇壱、猿山修在廊
 
Gallery Yamamoto
栃木県下都賀郡野木町南赤塚786-2
Tel 0280-56-2444
Fax 0280-55-2002
http://gyamamoto.exblog.jp/

「そる山」展 @Sol 京都

私がデザイナーとして関わった食器を中心とした展覧会が今月京都にて開催されます。
「そる山」展
2012年1月19日(木)- 30(月)
Open 11:30- 23:30
24日(火)休
猿山修の在廊日 1月 22日(日)
“Sol”
京都市中京区押小路通油小路東入ル二条油小路町270-1
電話075-708-8750
http://pushalley-oilalley.com
吉祥寺でFloorを始めて間もない頃、西荻窪にさる山はありました。
ストイックさと白の魅力は彼によって教えられた、といっても過言ではありません。
古い器に施された、金だけではなく、銀、錫、朱、黒と、物によって使い分けられた継ぎの美しさ。
その後、麻布十番に移ってからのオリジナルへの発展。
シンプルという枠をはみ出ない一癖。静けさを生み出すエッジ。
今回、京都で初のお披露目となります。
是非、さる山ワールドをSolにて、ご堪能下さい。
Sol 森田大剛
この展覧会に合わせて新作も発表します。皆様の御来場お待ちしております。

喜多村光史展 「螺旋のキオク」 @Gallery Yamamoto

11月13日まで開催の展覧会をご紹介致します。

「螺旋のキオク」という言葉を頂いた。自然と腑に落ちる。
轆轤の仕事の美しい、この人らしい提案である。
土のかたまりから、上に、横に、伸び、広がっていく円の連続は、月にも届きそうである。
手のキオクは形を成し、螺旋は天に。
白い月が満ちた。
粉引の正円の、日常使いの器を中心に。
料理がおいしそうに見えるのは、この人の料理の腕前の高さ故だろうか。
山本千夏(Gallery Yamamoto)
2011年11月1日 (火)より13日 (日)
11am- 5pm   会期中無休
日々の食卓にご愛用頂ける器を多数ご用意しております。
どうぞお出掛け下さい。
Gallery Yamamoto
栃木県下都賀郡野木町南赤塚786-2
Tel 0280-56-2444
Fax 0280-55-2002
http://gyamamoto.exblog.jp/