イタリアに古くから伝わる宙吹きガラスの技法を用い、さまざまなお酒や飲みものに合わせてグラスを揃えました。
ガラスの涼しげな印象とは裏腹に、作業はガラス炉の熱気が立ち込める過酷な環境の中で行われます。溶けた柔らかいガラスは黄金色に輝き、一見おいしそうな水飴のようですが、近付いた時の熱とまぶしさが1200℃の高温であることを感じさせます。このガラスを棹に巻き付けそっと息を吹き込むと、水飴状のガラスは瞬時に透明な薄い風船のように膨張します。内側からの圧力によって生まれる、この一瞬の自然な膨らみを捕らえるのが宙吹きガラスです。膨らみつつある形をどこで捕らえるか、その判断がグラスを形作る曲線を決定します。棹を鉄板の上でテンポよく転がし、道具を使いながら膨らんだ風船をカップへと成形していきます。傍らではアシスタントがタイミングよく棹に息を吹き込みます。二人三脚の無駄のない動きはベネチアンスタイルならではの工程です。
‘BAR’シリーズの持ち手部分は、主にアヴォリオと呼ばれる糸巻き状のパーツで構成されています。このパーツは、元来ベネチアンスタイルの大きな特徴である装飾の施された持ち手と薄手のカップをつなぐ役割を果たしてきました。体積の違いによる温度差から、接続時に生じやすかった割れを、アヴォリオを介すことで防いでいます。その機能性と、イタリア中世の建築構造や装飾から影響を受けたと思われるデザイン性とが合わさった知恵の結晶です。
カップとアヴォリオが出来上がったら、最後はフットです。アヴォリオに風船状のガラスを付け、風船の口を広げながら円を描くように押し広げ、底を平らにしてフット部分が完成します。ガラスの塊を平たく押し潰すだけの方法に比べ、一層繊細な仕上がりです。ここでも一手間を惜しみません。
ガラスは冷めるにつれて段々と固まり動かなくなってしまうため、全体的に均一な薄い作りのベネチアンスタイルには、高度な技術とスピードが要求されます。特に小さなグラスはガラスが冷めやすくなるため、作り手の長年の経験に基づく素早い判断が必要です。
伝統的な形を参照しながら、使いやすさをを考慮し、カップや持ち手のサイズを工夫しました。お酒の種類に合わせ、ちょうどよい一杯分をカップの大きさに反映させています。同時に、用途は限定されていませんので、ワイングラスで水やジュースを、シャンパーニュグラスでビールを等、ご自由にお使いください。気軽にお使いいただけるよう、持ち手は安定感のある長さにしました。アヴォリオがシンプルなデザインの中に上品な華やかさを与えています。厚すぎず薄すぎない、手取りの安心感と適度な緊張感、口当たりのよさも自慢です。宙吹きガラスならではの揺らぎや自然な丸みもおいしさに味方します。
日々の食卓から、だれかと過ごす特別なひととき、静かなひとりの時間まで。グラス、飲みもの、場面の取り合わせを多様にお楽しみください。
2014年10月4日(土)より12日(日)迄
初日4日土曜日 辻野氏(fresco代表)在廊
於「さる山」
営業時間 1—6 pm 会期中無休
東京都港区元麻布3-12-46和光マンション101
電話03-3401-5935
https://guillemets.net/
http://www.facebook.com/guillemets.layout.studio.saruyama
資料デザイン/山口信博+吉田結
編集/山本千夏
活版印刷/弘陽・三木弘志
制作/東屋
〒141-0022
東京都品川区東五反田5-4-20
03-5798-7510
info@azmaya.co.jp
note
大坊珈琲店の豆
『大坊珈琲店』刊行記念
- 大坊さんファンの方々に、イベントのお知らせです。
「大坊珈琲店の珈琲を愉しむ会」
38年間愛されつづけた「大坊珈琲店」。2013年末に惜しまれつつ閉店した際に、私家版として製作された書籍が復刊されました。この 刊行を記念して大坊さんの珈琲を楽しむ会を開催いたします。ぜひお立ち寄りください。
日時:2014年9月15(月・祝)、16日(火)
13:00~17:00(珈琲豆がなくなり次第終了)
*両日ともにmargoの通常営業はお休みです。
場所:ワイン食堂 margo
住所:〒153−0052 東京都目黒区祐天寺1-21-16-B
電話:03-5722-4505
http://www.margo3020.com
大坊さんが淹れる珈琲を召し上がっていただきます。
ブレンド 3番(20g 100cc/600円)と4番(25g 50cc/700円)をご用意いたします。
書籍『大坊珈琲店』を販売いたします(ご希望の方には、大坊さんがサインをしてくださいます)。
margoは祐天寺にあるワイン食堂です。7坪ばかりの小さなお店です。
この会はお席のご予約等御は不要です。気軽にお立ち寄りください。
店内は禁煙ですので、あらかじめご了承ください。
「大坊珈琲店のマニュアル」
自家焙煎とネルドリップの変わらぬスタイルで、38年間コーヒーと向き合っておられた大坊勝次さん。コーヒー好きに愛された名店でした。
今回は、講演会スタイルではなく、実際に大坊さんが皆様にコーヒーを淹れるところから始めます。コーヒー抽出のポイントなどお話しし、5名様ずつコーヒーを淹れます。順番にご案内します。(人数分淹れるのに時間がかかりますが、ご了承下さい)じっくり香りと味を確認してください。
講座後半では、皆様の質問にお答えしながら、お店のこだわりなどについてもお話しします。
大坊珈琲店で使っていた器、鍋、焙煎機、店内の写真などを教室に展示いたします。
日時:2014年10月11日(土)11:00~13:00
場所:NHK文化センター横浜 ランドマーク教室
住所:横浜市西区みなとみらい2-2-1 ランドマークプラザ5F
電話:045-224-1110
受講料:NHK文化センター会員の方 3240円、一般の方3780円
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_999111.html
【お申込みいただく方へのお願い】
・大坊さんへの質問の時間を設けます。お申込みいただく際、お尋ねしたいことをお書き添えください。
【プロフィール】
・大坊勝次(だいぼう・かつじ) 1947年岩手県盛岡生まれ。南青山にあった「大坊珈琲店」店主。
TAKETA ART CULTURE 2014 に参加します。
大分竹田で行なわれる “TAKETA ART CULTURE 2014” にお誘い頂きました。書家の草刈樵峰さんの手による特設会場にて、猿山デザインのプロダクトを展示販売します。最終日には、草刈さんと竹藝の中臣一さんを交えてお話会を予定しています。
詳しくは、下記ウェブサイトをご覧下さい。
http://www.taketaartculture.com/
「月光値千金」展
今年もまた!
今年も大吉さんとさる山さんが、秋の夜長を楽しむための酒の器、道具をならべます。
2014年9月20日(土)と21日(日)
0- 7 pm
初日の20日(土)のみ、17時から20時までの宵の口、ささやかではございますが、展示している器でお酒を振る舞います。よろしければ猪口っと、、、だけでもお立ち寄りくださいませ。お待ちしております。
東青山
<会場>
港区南青山6-1-6 パレス青山一階
03-3400-5525
http://www.higashiaoyama.jp/event/post-72.htm
写真
上/古物、盃、中右/古物、碗、下/古物、徳利(漆)
さる山展
富山にて下記の展覧会を行ないます。さる山展 guillemets layout studio+saruyama
麻布十番にて古陶磁を含むテーブルウェア等を扱うお店『さる山』
店主の猿山修氏は、グラフィック、プロダクト、空間など、ジャンルにこだわらず独自のスタイルでモノを作り出して行いくデザイナーでもあります。
陶磁、金属、ガラスなど、さまざまな作り手との共有も手掛け、作家の個展なども企画しています。
この度51%では、猿山氏がつくり手と共作してきた品物の数々を、そのつくり手のオリジナル作品とともにご紹介いたします。
会期 8月23日(土)〜9月7日(日) 10:00~18:00
会場 51%五割一分 富山県富山市磯部町3−8−6
tel 076-491-5151
出展作家 濱中史朗(陶磁器)、寒川義雄(陶器)、古橋治人(木工)、辻野剛(ガラス)、竹俣勇壱(金属)他
「猿山道場」登場人物一覧。
松本武明・道場主
表の顔は温厚な道場主、裏の顔はうつわ学園の学園長だった! 深い愛情をもって門下生、師範をも見守る、普通のノートにはおさまり切らないうつわの大きなひと。道場、学園の年間行事は全て企画しているが、盛り上がりに欠けるとすねて部屋の隅で体育座りしてしまう。
二川修・応援団
不登校が続く問題児。シニカルに世の中を見ているが、まめで綺麗好きの一面も。不良ぶってはいるが、情に厚く涙もろい。「俺は腐ったみかんや」が口癖。
花岡央・ボクシング部
前向きな元気キャラ。クラスのまとめ役。それがあだになって苦労することも多々有り。次期生徒会長の席を狙っている。
服部竜也・空手部
生まれもっての体育会系。先輩にきちんと挨拶ができる礼儀正しさ。技の切れは抜群。家ではプラモデルが趣味。
今村肇・アメフト部
佐賀県からの転校生。猿山道場きっての手練。その満面の笑顔に誰もがころり。実は、JICONが密かに送りこんだ道場破り。
松本かおる・合気道部
見た目は女性的だが、小さい頃から男の子の遊びの方が好き。心の鍛錬を求めて合気道部の門をたたく。トイレに行くにも、女子で連れ立つことなく、自分の道は自分で。
西垣聡・相撲部
まだ1年生の初々しさ。今はぶつかり稽古の毎日。実家が美容院。髪が伸びたら、自分でまげを結うのが夢。
新田佳子・応援部
本当はチア部に入りたかったが、つい気後れしてしまい、応援団に。ゆっくりモードだが、一番しっかりしたお姉さんキャラ。
沼田智也・遠泳部
思いこみの激しい天然キャラ。野球部ユニフォームは、コスプレ。海辺育ちの遠泳部。おじいちゃんに教わった古代泳法が得意。
高木剛・柔道部
がんこ一徹。無駄口はたたかない。古風を好む。鉄下駄で登校するが、できればやめたいと思っている。見た目は骨太だが、意外に人見知りの赤面症。
猿山道場・門下生
猿山師範のもとに集まった9人の有志たち。
山本千夏・チアリーダー
誰にも愛される人気キャラ。皆んなをまとめる天性のチアリーダー。人の話を聞いているようで、実は一番のコントロール上手。
猿山修・師範
若い頃はカミソリのような鋭い技を繰り出したが、今は酒とともにある人生。得意技は、もちろん酔拳。チア部の応援がないと何もできない。
大分竹田
来月、大分竹田にて行なわれるイベントに参加します。その告知は改めてしますが、その前にこの地の印象を。
先日伺ったこの土地とそこに集う人々、その風土から醸し出される勢いに魅了されました。美しい城下町であるこの市街は、とても小さく、中心から三分も歩けばそびえ立つ崖を登ることになります。かといって、それは狭さを感じさせるのではなく、優しく包み込まれる様な安堵を与えてくれるのです。間近に見える頂きには美しい城趾があり、それは、この町に住む人にとって、威圧されるようなものではなく、誇らしく安らぎを与えてくれる存在なのだと思います。
この地に生まれ育った知人に誘われ赴いた二日間、魔法(黒い?)にかけられたような時を過ごしました。こんなところに、こんな人々がいるなんて。